八雲会ブログ

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八雲会総会の講演会は一般公開。今年の講師は広島の風呂鞏さんです

例年、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の誕生日である6月27日前後に開催する八雲会の総会。今年度の開催日は7月4日(日)です。

総会議事終了後は、小泉八雲に関する話題や研究の成果に触れることができる講演会を毎年実施しています。

今年は、広島で「ラフカディオ・ハーンの会」を主宰する風呂鞏(ふろ・かたし)さんを講師に迎え、「広島に生きるハーンの心」と題してお話ししていただきます。

広島は、八雲が住んだ土地ではありませんが、松江の島根県尋常中学校と東京の帝国大学で八雲の教えを受けた愛弟子の大谷正信(繞石、1875-1933)が、広島高等学校の教授として赴任するなどのゆかりがあります。

そんな広島で2000年に産声を上げたラフカディオ・ハーンの会の月1回の例会は、この3日(土)で119回に達しました。風呂さんの編集で例会ごとに発行される「ラフカディオ・ハーンの会ニュース」のバックナンバーは、同会のホームページで公開されており、活動の様子を垣間見ることができます。また、広島の住吉神社が発行する『月刊すみよし』でも、風呂さんによる小泉八雲についての連載があり、これもバックナンバーが同社のホームページで読むことができ、精力的なご活躍ぶりが伝わってきます。

講演会は会員ではない方でもお聴きいただけますので、次の日曜日の午後はお誘い合わせの上ご来場ください。

6月27日はヘルンさん160回目の誕生日です

明後日6月27日(日)は、ヘルンさんこと小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の160回目の誕生日です。

ヘルンさんは1850年6月27日、ギリシャのイオニア海に浮かぶレフカダ島で、英国籍アイルランド人の軍医と、ギリシャ人の母の間に生まれました。この年は日本の年号で言えば嘉永3年。浦賀にペリー率いる黒船が来航する3年前のことでした。

さて、明後日の誕生日当日は、小泉八雲旧居や小泉八雲記念館のある塩見縄手で、「小泉八雲生誕160年誕生祭」が開催されます。

ヘルンさんの胸像のある塩見縄手講演での記念式典とアトラクションのほか、塩見縄手一帯の商店や施設が、それぞれ趣向を凝らした特別企画を実施します。生誕160年にちなんで、160円の飲み物や食べ物を用意する店舗が多いようです。

小泉八雲記念館では、小泉凡さん(小泉八雲曾孫、小泉八雲記念館顧問)による解説が4回実施されます。また、何か「サプライズ」も用意しているとか……? 何でしょうね。

小泉八雲旧居では、朗読の催しのほか、この日限りで「芳名録」が復活し、来場者の記帳を受け付けます。

小泉八雲旧居(根岸家)の芳名録は、1916(大正3)年以来、旧居の訪問者が記帳してきたもので、全30冊中26冊が戦前の記録です。記帳者の中には、ヘルンさん二男の稲垣巌、教え子の大谷正信(繞石)や落合貞三郎といったヘルンさんゆかりの人びとから、芥川龍之介や湯川秀樹などの著名人の名前も見られます。八雲会では昨年(2009年)、この芳名録の全巻全ページを写真撮影し、デジタルデータによる記録保存を実施しました。また、デジタルデータをプリントアウトし、9分冊2セットをバインダー製本。そのうちに1部を根岸家に寄贈しました。

塩見縄手公園では、ヘルンさんへのメッセージカードを書けるとのこと。この際、旧居の芳名録と両方にあなたの名前を残してみるのも面白いでしょうね。

ヘルンさんのバースデイパーティ、楽しみに待ちましょう。

小泉八雲生誕160年誕生祭のイベントマップ。

参考
内田融「小泉八雲旧居(根岸家)の芳名録について」『八雲会報』第45号、2009年。
「松江の八雲会 ヘルン旧居芳名録を製本」『山陰中央新報』2009年11月1日。

120年前の今日、ハーンは日本の土を踏みました

今からちょうど120年前の1890(明治23)年4月4日、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)はヴァンクーヴァーからの2週間近い船旅を終え、横浜に上陸。初めて日本の土を踏みました。来日早々、ハーンは横浜市内の寺社を人力車で巡り、ほどなく江の島や鎌倉にも足を運びました。島根県尋常中学校・師範学校に英語教師の職を得て松江に旅立つのは、その年8月の終わりのことです。

小泉八雲来日120年・生誕160年を迎えた今年度、全国各地で記念事業が実施されるようです。松江でも、このほど松江市や八雲会などからなる実行委員会が設けられ、記念事業の計画を詰めているところです。具体的な内容は、順次八雲会のホームページでもお伝えしていきます。

「小泉八雲の“夢見るベット”」に寝転がってみました

イベント情報でもお知らせしましたように、小泉八雲旧居、同記念館にほど近い松江市奥谷町で「奥谷タイムトンネル2」というアートイベントが開催されています。

奥谷タイムトンネル2(イベント情報)

会場のひとつ、島根大学旧奥谷宿舎に出現した「小泉八雲の“夢見るベッド”」。筆者が聞いた限りでは、関係者もマスコミ、クチコミも、そろってこの催しの“一番人気”に挙げています。

島根大学旧奥谷宿舎2階の「どこでも図書室」に置かれた「小泉八雲の夢見るベッド」。ベッドに寝転んで読書を楽しむことができる。

島根大学旧奥谷宿舎2階の「どこでも図書室」に置かれた「小泉八雲の“夢見るベッド”」。ベッドに寝転んで読書を楽しむことができる。

1869年、アイルランドからアメリカに身一つで渡って間もない19歳の青年、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が、印刷工場から出た紙屑をクッション代わりに詰めたベッドで寝起きしたというエピソードにヒントを得て作られた、このベッド。置かれているのは宿舎2階、参加アーティストが持ち寄った創作の源となる本を自由に手にとって読むことができる「どこでも図書室」という、この会場の中でも最もくつろげる場所です。

ベッドの表面は、ハーンの生年1850年にアメリカで出版されたナサニエル・ホーソーン(Nathaniel Hawthorne)の小説『緋文字(The Scarlet Letter)』をコピーした、わら半紙に覆われていますから、肌触りは多少カサカサします。主催団体代表の高嶋敏展さんがこのイベントのブログに書いた記事によると「(印刷工場主の)ワトキンも極めて貧しかったのでシーツすら与えられなかったかもしれ」ないと考えたことから、新聞紙を詰めたシーツを、あえてこのような紙でくるんでみたのだとか。

寝転がってみると、ベッド全体は薄いながらも、やや固めのしっかりとしたクッションが体を支えてくれているのが背中や足腰に伝わってきます。寝心地のよさでは一般の家庭やホテルにあるベッドにはさすがにかないませんが、貧しいながらも安眠の床を得ることができた若き日のハーンと自分を重ね合わせるには打ってつけのベッドです。

厳密な考証に基づいた再現ではなく、あくまで松江の人びとに今も愛される“ヘルンさん”に思いをはせるための装置として大いに楽しめると思います。「奥谷タイムトンネル2」この連休、3月22日(月)まで開催しています。

奥谷タイムトンネル2のブログ

会誌『へるん』の投稿〆切日が近づきました

今年も、会誌『へるん』(年1回発行)の投稿〆切日2月15日が近づきました。投稿のご予定の方は、会誌『へるん』の投稿規定を今一度ご確認の上、原稿をお送り下さいますようお願いいたします。

1965年に創刊した『へるん』は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)顕彰・研究、および情報交換の雑誌です。第24号(1987年)から第34号(1997年)までは、東京の恒文社より全国版として発行されたことで、ハーン専門の雑誌として全国にあまねく認知されました。第35号(1998年)よりふたたび松江の地で編集・出版が進められ、現在に至っています。

なお、投稿規定にあります通り、『へるん』の投稿者は八雲会員であることと定められていますので、未入会の方はこの機会に入会手続をお願いいたします。また、執筆者には、ハーン研究発展・普及の一助として、掲載誌を特価で10部をお買い上げいただく内規になっています。なにとぞご諒解のほどお願いいたします。皆様のご投稿をお待ちしています。

次号の『へるん』は第47号。ハーンの誕生日6月27日ごろ発行の予定です。

会誌『へるん』の投稿規定
入会案内

俳人協会評論賞に日野雅之副会長『松江の俳人 大谷繞石』

社団法人俳人協会(鷹羽狩行会長)が主催する「第24回俳人協会評論賞」に、日野雅之副会長の著書『松江の俳人 大谷繞石—子規・漱石・ハーン・犀星をめぐって』(今井出版)が選ばれました。賞の授与式は2月23日に新宿京王プラザホテル(東京)で開催されます。

八雲会ブログにも本書の紹介記事がありますので、あわせてご覧下さい。

日野雅之副会長の著書『松江の俳人 大谷繞石』刊行

『山陰中央新報』に旧居芳名録の記事:2009年11月〜12月

小泉八雲旧居(松江市北堀町)の訪問者が記帳した芳名録を八雲会が写真撮影・製本し、旧居所有者の根岸道子氏に贈呈しました。

2009年12月4日『山陰中央新報』
小泉八雲の「芳名録」 30冊に2万人の署名
内田融(八雲会常任理事)

[再掲]2009年11月1日『山陰中央新報』
松江の八雲会 ヘルン旧居芳名録を製本

雑誌Smithsonianで松江とハーン紹介される

Smithonian 2009年9月号の表紙Smithonian 2009年9月号の表紙ハーンの記事

アメリカで発行されているSmithsonianという雑誌の特別号(09.9)に松江とハーンが紹介されている。Serene Japan(静謐な日本)というタイトルを付けて見聞記が載っている。筆者はFrancine Prose という女性で、カメラマンとともに、4月桜の終わりの頃この地を訪れた。
松江では、ボランティア・ガイドのC.K.さんが案内。
月照寺、小林正樹の映画「怪談」、ハーンの生い立ち、日本女性との結婚、出雲大社、松江、堀割、松江城、小泉八雲記念館、八雲旧居、城山稲荷神社と話題の場所を巡っていく。

松江のところでこんな文章が目にとまった。

水の都(the “City of Water”)松江には、17世紀築城の城を巡る長い堀割がある。晴れた日は、水面に光がきらきら反射して、ヴェネチアの淡い赤みがかった輝き(aura)と北カリフォニア海岸の外洋性のまぶしさ(dazzle)とが溶け合っている趣がある、といっている。

 
小泉八雲記念館では、ハーンが特注した高い机がよほど印象に残ったらしい。
駆け出しの作家はハーンのように一旦作品を書き終えたら、引き出しにしまい、時を置いて取り出しては推敲を重ねて望ましい一編に仕上げていくべきだと言っている。

ハーンに関したところを取り上げてみる。

背は低く、目は不自由で、アウトサイダーであるとみていたが、日本で始めて地域社会への帰属意識を経験した。日本名小泉八雲と改名したが、自分自身は未知(unfamiliar)の社会を絶えず探求しようと努力する外国人とみなしていた。伝統と変革という二つの問題に関心を払っていた。その作品は帰化した国をエギゾチックにそしてロマンチックに書きすぎたと批判されているが、日本では今までも愛着をもたれ、よく読まれている。
今なお、日本人がこころに描くハーンはハーンが日本の文化を取り入れ、それを西洋世界の人に理解させようとした熱意にあったと一般的には思われているが、—ここで、クリストファー・ベンフィー(Christopher Benfey)の『グレイト・ウエイヴ』(The Great Wave)が引用される。
ハーンは外国旅行者の行儀の悪さを軽蔑し、西洋を模倣しようとする日本人の意気込みを嘆き、西洋の識者の中でも、日本人の怒り、特に日本にいる西洋の旅行者や在住者への日本人の怒りを声高に論じたのは、ハーン以外に殆どいなかった。ハーンは古い時代の霊的な(ghostly)「遺物(survivals)」を理想化して, かすんだもやを通して昔の日本を見た。

 
Proseさんはこの典型として八雲旧居の庭をあげている。同じ文脈で城山稲荷神社のキツネの群れに触れている。
松江の「霊的遺物」を見た後、Proseさんはこんな感想を述べている。

この時点で、わたしもハーンが真っ逆さまに転げ込んだ落とし穴−古い日本、失われた日本をロマンチックに美化し、1990年代にバブル崩壊と不況の10年を経験し、現在われわれと同じようにまた経済危機に直面しているこの過密日本の現代の厳しい現実を無視するという陥穽に陥ったかもしれないと感じているのだ。

 
Prose さんは、松江から萩へと旅を続ける。この紀行の終わりをこんな風に結んでいる。

この客人を歓迎し魅惑的な、古いものと新しいものが融合した日本において、来るまでは分からなかったことだが、なぜハーンがその魔力(spell)のとりこになって、日本を脱することはできなくなり、この地で、長い放浪を終え、ようやくこの上ないこころ穏やかな気持ちになったかが理解できた。

 
(なお、雑誌Smithsonianは常松正雄氏から紹介されたものである。深く感謝したい。)

Smithonianに掲載された記事は、同誌のホームページでも読むことができます。

Finding Serenity on Japan’s San-in Coast (Smithsonian Magazine)

日野雅之副会長の著書『松江の俳人 大谷繞石』刊行

※本書の取扱所を記載しました(2009年12月5日)。

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日野雅之・八雲会副会長の著書『松江の俳人 大谷繞石—子規・漱石・ハーン・犀星をめぐって』(今井出版、2009年9月11日発行)が刊行されました。著者から紹介文が届きましたので、掲載します。

松江生まれの俳人、大谷繞石(ぎょうせき)、本名、正信は、島根尋常中学校で、ラフカディオ・ハーンに学び、愛弟子としてかわいがられ、熊本転勤の折りには、生徒代表として謝辞を述べた。仙台二高では、高浜虚子、河東碧梧桐と知友となり、東大入学後には子規庵に通って俳句を学んだ。偶然にもハーンも講師として東大に転勤となり、再びハーンに学ぶことになり、ハーンの研究資料収集係となり、報酬を受けて苦学生だった繞石は卒業することが出来た。英文学の大学講師となってからは、俳句仲間として、英文学仲間として、夏目漱石と交際するようになり、金沢四高教授の時には、十代の室生犀星に俳句を指導した。

ラフカディオ・ハーン没後、小泉八雲全集の三分の一を翻訳した。また、俳句においては、俳句混迷の時代にも、終始、定型写生の基本を守った俳人でもある。

このたび、繞石の評伝『松江の俳人 大谷繞石—子規・漱石・ハーン・犀星をめぐってハーン・虚子、碧梧桐』を刊行しました。ご一読いただければ、幸甚に思います。

日野雅之

本書の概要は下記リンク先に掲載しています。あわせてご覧ください。

『松江の俳人 大谷繞石—子規・漱石・ハーン・犀星をめぐって』

取扱所

『山陰中央新報』に掲載されました:2009年9月〜11月

9月から11月にかけて『山陰中央新報』に掲載された小泉八雲および八雲会関連の記事です。

2009年9月6日 『山陰中央新報』
松江で小泉八雲ゆかりの地をめぐるツアー
※琴ノ浦まちおこしの会(鳥取県琴浦町)のみなさんが「へるんツアー」で、加賀の潜戸などを訪問。八雲会の日野雅之副会長が解説を務めました。

2009年10月25日『山陰中央新報』
日野雅之著『松江の俳人 大谷繞石(ぎょうせき)』 復権願い業績つぶさに
風呂鞏(八雲会会員、比治山大学非常勤講師)
日野雅之副会長の新著の書評。同書は、島根県尋常中学校と東京帝国大学で八雲の教えを受けた大谷繞石(正信、1875-1933)の、俳人としての業績の再評価を試みています。

2009年11月1日『山陰中央新報』
松江の八雲会 ヘルン旧居芳名録を製本
※小泉八雲旧居(松江市北堀町)の訪問者が記帳した芳名録を八雲会が写真撮影・製本し、旧居所有者の根岸道子氏に贈呈しました。