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謹賀新年

あけましておめでとうございます。

旧年中は、新型コロナウイルスの影響により定期総会や「ヘルンをたたえる青少年スピーチコンテスト」の実施を2年連続で見合わせましたが、一方で新刊2冊『松江と小泉八雲:何を見て 何と出会い 何を残したか』『小泉八雲の怪談づくし』を刊行することができ、いずれも多くの反響をいただきました。感謝申し上げますとともに、本年も変わりませずよろしくお願い申し上げます。

さて、昨年は、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が松江から熊本に転居してから130年に当たりました。ハーンが130年前に元日を迎えた当時暮らした家が、小泉八雲熊本旧居として移築保存されています。

熊本旧居には、ハーンがこの家を借りるにあたって設けた、伊勢皇大神宮を祀る神棚があります。この神棚に灯明をつけ、お供えをしたことなど、日本の正月の様子をアメリカの友人に手紙で伝えています。

熊本旧居では来週1月4日にデジタルミュージアムを開設する予定。「旧居内でのみ楽しめるVR体験『雪女』や、現地に行かなくても楽しめるWebコンテンツも盛りだくさん!」(熊本市ホームページ)とのことです。注目しましょう。

明治二十五年(一八九二)の正月を熊本市手取本町三四番地の家で迎えたヘルンは、門にはしめ縄をめぐらし、神棚に灯明や供え物を上げた。自分の家の正月の様子を詳しくアメリカの友人に報告して子供のように正月飾りを喜んだ。
熊本の新年宴会は正月五日に行われる例になっていた。同日、当時の熊本第六師団長野崎中将の主催で祝宴があり、ヘルンも招待を受けた。県庁の通達に「フロック着用のこと」とあったので、ヘルンは「そんなことなら、私は、出席はお断りする。私は、生涯フロックは着ないつもりである」と答えた。このあと「将軍から日本の礼装でよろしい、との知らせがあったので、私は松江で作った紋付羽織袴の礼装で出席しました」と西田千太郎に知らせている。
この時、下駄類の履けないヘルンは靴履き羽織袴の「勇姿」。フロックの日本人と対照して、笑いを禁じ得ないものがあったであろう。
—『小泉八雲新考』(丸山学)
(梶谷泰之「熊本の正月」『改訂新版 へるん百話——小泉八雲先生こぼれ話集』〔八雲会〕より)


別掲にて、年末に発行しました「八雲会報」第69号のご案内を掲載しております。あわせてご覧ください。

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