牧野陽子(著)
近代化のなかで問われた日本人の宗教的感性とは?
ハーン=小泉八雲が見つめつづけたものを、
ウィリアム・グリフィス、イザベラ・バード、キャサリン・サンソム、
さらには柳田國男、柳宗悦、芥川龍之介、林芙美子など、
幾多の視線が交錯するなかに浮かび上がらせる。
【受賞のお知らせ】
牧野陽子著『ラフカディオ・ハーンと日本の近代』が、第36回(2021年)英学史学会奨励賞を受賞いたしました。https://t.co/TTbgZRTMty https://t.co/79VvB20QWo— 新曜社 (@shin_yo_sha) November 29, 2021
はじめに 『知られぬ日本の面影』序文考
第一章 ラフカディオ・ハーンが見た寺と神社の風景
第二章 神社の姿—— “A Living God”とケルトの風
一 ジャパノロジストの神社観と神道評価—先祖崇拝と自然崇拝
二 ラフカディオ・ハーン——「旅日記から」と「生神様」
三 神社空間のダイナミズム——魂のゆくえ・風・里山の風景
四 W・B・イェイツ——ケルトの風と妖精
五 柳田國男——『遠野物語』と『先祖の話』
第三章 グリフィスからハーンへ——“In the Heart of Japan”
一 グリフィスとハーン——「ある保守主義者」
二 福井の朝、松江の朝
三 寺と神社——来日外国人の印象
四 簡素な空間、豊かな自然——十九世紀アメリカ東部の感性
五 家庭の祭壇——“In the Heart of Japan”
第四章 棚田の風景——「蛍姫の求婚者」と「雷の子」
一 グリフィスの『日本の御伽の世界』
二 「蛍姫の求婚者」
三 「雷の子」
四 〝雷神の子〟の系譜
五 棚田の物語
第五章 「人形の墓」——ハーンと日本の近代
一 『仏の畑の落ち穂』
二 「人形の墓」——門つけの娘
三 明治の青年の物語
四 〝イネ〟への言葉
第六章 『遠野物語』——柳田國男とハーン
一 ハーンと民俗学
二 『遠野物語』とハーン
三 ハーンから柳田國男へ——怪異譚の再話と民俗学
第七章 一大正知識人の朝鮮人像——柳宗悦の民藝運動とハーン
一 朝鮮文化の自立性の擁護
二 〝悲哀〟の美
三 「日本人の微笑」
四 西洋的近代へのアンチテーゼ
第八章 「南京の基督」——芥川龍之介とハーン
一 「南京の基督」
二 光と闇の室内
三 非西欧の語り——「手巾」と「日本人の微笑」
四 対峙の構図
第九章 「雪女」の〝伝承〟をめぐって——口碑と文学作品
一 「雪女」の原話
二 「雪女」論争!?
三 論考に演出はどこまで許されるのか
四 口碑から文学作品へ、という思い込み——ハーンの文学における〝母〟と〝妻〟
第十章 夕暮れのアイヌ、伊勢の夕闇——イザベラ・バードの『日本奥地紀行』
一 揺さぶられる眼差し
二 日本人の〝道徳性〟——事実と評価の乖離
三 夕暮れのアイヌ——滅びの美
四 伊勢の夕闇
五 「日本はわが道を進んでいる」——近代化とキリスト教化
第十一章 赤裸々の人間讃歌——キャサリン・サンソムの東京時代
一 ふたつの東京滞在記
二 あるがままに観察する眼
三 赤裸々な人間模様
四 感性の開化
五 開戦前夜に
第十二章 熱帯の幻影——林芙美子『浮雲』
一 屋久島、仏印と『浮雲』
二 窓越しの雨
三 〝熱帯〟の幻影——仏領インドシナ
四 介在の構図
五 屋久島のカタルシス
あとがきにかえて——回想
索引