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2015年6月27日…小泉八雲は165回目の誕生日、第二次八雲会は発足50年

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ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)165回目の誕生日を迎えました。アイルランドのトラモアでは現地時間の昨日、ハーン曾孫・小泉凡さん夫妻も出席して小泉八雲庭園の開園式が行われ、八雲会のFacebookページTwitterでは現地からのニュースを逐次ご紹介しました。まとめは山陰日本アイルランド協会のサイトに載りましたので、この話題については今日はそちらでご覧いただくとして、八雲会ブログでは私たち八雲会のお話をさせてください。

今年第一次八雲会は創立から100年を迎えますが、現在の八雲会(第二次八雲会)は今日6月27日で、発足からちょうど50年になりました。第二次八雲会設立に先立ち、発起人たちは次のような趣意書を発しました。「八雲を顕彰し、郷土の皆様が一人でも多く彼に興味をもたれ、永く敬慕下さるようになれば」とその趣旨をうたい、八雲会という名称は第一次八雲会の「復活という願意をこめて」名づけたものだと述べています。

八雲会設立について
郷土のみなさんへ
 初夏の候、いよいよ御清栄のこととお慶び申し上げます。
 さて、ごぞんじのとおり、郷土、松江の誇り、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が逝つて六十余年、年月を経るにつれてますます彼の郷土にのこした足跡の偉大さを思わずにはいられません。この松江が、戦後、国際文化観光都市を標榜できたのも、遥か明治の中期に、偶然にも八雲が来松し、かずかずの作品の中で、広く世界に紹介したことも大いに与つていることと思います。
 近年、松江を訪れる内外人は急速にその数を増しております。それらの人々がまず口にするのは、小泉八雲、杖をひくのは八雲旧居ときまつているようですが、その反面郷土では案外、八雲に疎い人々が多いような気が致します。
 そこで私達は不肖の身を顧みず、八雲を顕彰し、郷土の皆様が一人でも多く彼に興味をもたれ、永く敬慕下さるようになればと、表記の会の設立を計画致しました。純粋な民間団体として自由に、また気軽に御入会下さいますように、心から望んでおります。
 会の名称の由来につきましては、昭和の初期、小泉八雲記念館建設を目的として「八雲会」が存在致しましたので、その会の復活という願意をこめて名付けました。
 発会式は小泉八雲の誕生日に当ります。きたる六月二十七日(日)に左記の要項にて行います。なお御手数ながら入会後希望のお方は同封の申込書に御記入の上、六月二十二日までに届くように御投函下さい。また会則案も印刷しておりますので御高覧下さい。
   昭和四十年六月十六日
〔以下略〕

発起人は下記の人々。大学や高校・中学校の教員が中心でした。

発起人(順不同)
(近畿日本ツーリスト松江営業所)
      本田秀夫
(島大)  梶谷泰之
(島大)  森亮
(松江北高)山崎亮平
(松江北高)山中保夫
(松江二中)仲田輝男
(松江商業)大浦敏男
(附中)  吉井祐蔵
(松江南高)池野誠
(農大附高)高橋肇
(島大学生)依田昌彦

※島大:島根大学。附中:島根大学教育学部附属中学校。農大附高:島根県立島根農科大学附属高等学校(現在の島根県立松江農林高等学校)。

本田秀夫は初代会長、梶谷泰之と森亮は顧問(梶谷はのちに会長、名誉顧問)、池野誠は現在理事を務めており、高橋肇は長く事務局を担当しました。

こちらは、当時の島根県労働会館(松江市)で開かれた第二次八雲会の設立総会の模様です。

第二次八雲会設立総会(1965年6月27日、島根県労働会館)

第二次八雲会設立総会(1965年6月27日、島根県労働会館)

壁に貼られた記念講演の演題は次の通りです。

「へるんと私」白築祐久
「旧八雲会の思い出」和田正則
「故一雄氏をしのぶ」梶谷泰之

出雲大社にほど近い稲佐の浜をハーン一家が訪れた際、長男の一雄と遊んだ白築、松江市職員として第一次八雲会とかかわりのあった和田、ハーンの子女のうち最後まで存命し、この年亡くなった一雄を偲ぶ梶谷。このほか、当会の記録によると石村春荘が「明治のへるん」と題して講演しているようです。

もう1枚の写真は、同じ年8月に、中高生を対象に実施した「へるんサマースクール」。

へるんサマースクール(1965年8月、松江城本丸)

へるんサマースクール(1965年8月、松江城本丸)

松江城本丸に集い、ハーンの作品における天守閣の描写や、ハーンの登閣の足跡について説明を受けているのでしょうか。左手に見える台座には、戦時中の金属供出で失われた松江藩松平家の初代・直政の銅像が置かれていました(銅像は近年、三の丸の県庁前広場に再建されました)。サマースクールでは、英文テキストを片手に市内のハーンゆかりの地を訪ねながら、4日間にわたってハーンへの理解を深めたそうです。

こうした第二次八雲会設立当初の様子がわかる資料や、第一次・第二次八雲会の年譜「八雲会の歩み」全面改訂版をまとめたパンフレットを、次の土曜日7月4日、八雲会創立100年記念講演会・シンポジウム「八雲の記憶、百年の継承。」の来場者にお配りする予定です。当日どうぞお楽しみになさってください。

八雲会創立100年記念講演会・シンポジウム「八雲の記憶、百年の継承。」 | 八雲会 | The Hearn Society:小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の研究・顕彰

定期講座「小泉八雲に学び・親しむ」2015年度第1回は「八雲会100年、小泉八雲を顕彰してきた人々」

松江市立中央図書館の定期講座「小泉八雲に学び・親しむ」は2015年度も開講します。第1回となる4月25日(土)は「八雲会100年、小泉八雲を顕彰してきた人々」。第一次八雲会の誕生から100年、そして現在の八雲会(第二次八雲会)が発足して50年を迎える新年度にふさわしいテーマで、風呂鞏さん(広島ラフカディオ・ハーンの会主宰、八雲会会員)がお話しします。

住吉神社(広島市)が発行する『月刊「すみよし」』で連載を持つ風呂さん。多くの回でラフカディオ・ハーン(小泉八雲)に触れていますが、今年2月号では「八雲会創立一〇〇年」と題して寄稿。今週末の講座の予習にもちょうどよさそうです。

月刊「すみよし」

風呂さんが主宰する広島ラフカディオ・ハーンの会が月1回開く例会では、今年1年を通して八雲会の歴史、ハーン顕彰に尽くした人々を取り上げています。例会ごとに作成される「ニュース」にも毎号、記事があります。

第173回「ラフカディオ・ハーンの会」ニュース(2015.1.10)

第174回「ラフカディオ・ハーンの会」ニュース(2015.2.14)

第175回「ラフカディオ・ハーンの会」ニュース(2015.3.7)

第176回「ラフカディオ・ハーンの会」ニュース(2015.4.11)

こちらは同会会員のブログより、4月例会の参加記録の一節です。

風呂先生は日ごろ、八雲を顕彰してきた人々への顕彰を促されています。
たしかに風呂先生をはじめ八雲を顕彰してきた方々によって、充実した退職後の人生を送らせていただいている私としても、何はさておき八雲を学ぶ時には、このことを心の柱として据え置かなければならないと感じています。
とくに、このたびは、当日検査入院されていたにもかかわらず、この会に来てくださった風呂先生への感謝を心に刻みます。そして、たとえば、これまでも本を読むことは大好きだった私ですが、この会を通じて八雲会の功労者である市川三喜を知っていたおかげで、さきごろの読書でも、何気なく読み過ごしてしまう安倍能成の「岩波と私」の文中、岩波が快活であることの説明として、岩波書店開店の前年、岩波と5,6人で立山に登った大正元年の話題のなか
《岩波は信州生まれの山男であり、しまいになるほどますます元気が出てきた。市河君は岩波より四つ五つ若いはずだが、案内頭の作十は、市河君に向かって、「先生、若い衆は先へ行かせてゆっくり参りやしょう」といった。しかもその若い衆とは岩波なのだから、いささか驚かざるを得ない・・・》とあるところ、市川三喜の吐息と苦笑の表情が感じられて、印象深いものになりました。

山姥珍道中記 第176回 「広島ラフカディオ・ハーンの会」参加記録

松江市立中央図書館定期講座「小泉八雲に学び・親しむ」の年間予定のチェックと申込用紙のダウンロードは、松江市立図書館のサイトでどうぞ。

松江市立図書館公式サイト

あけましておめでとうございます…2015年は第一次八雲会100年、第二次八雲会50年です

第二次八雲会の選文により「神々の国の首都 松江」と刻まれた宍道湖畔の小泉八雲記念碑(1966年除幕/島根県松江市)

第二次八雲会の選文により「神々の国の首都 松江」と刻まれた宍道湖畔の小泉八雲記念碑(1966年除幕/島根県松江市)

あけましておめでとうございます。
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)没後110年に当たった昨年は、多くの方々のご尽力により、ギリシャおよび日本における数々の記念事業を成功裡に終えることができました。この場を借りて感謝申し上げます。

さて、今年2015年は八雲会にとって大きな節目となる年です。第一次八雲会創立から100年、第二次八雲会発足から50年を迎えます。

八雲会の年譜に当たる『八雲会の歩み』(1998年)によると、ハーンが亡くなってちょうど10年に当たる1914年(大正3)年9月26日に創立発起が行われ、翌15年(大正4)年6月25日に創立。ハーンの命日9月26日に私立松江図書館で第1回の総会を開催したとあります。総会では、ハーンの教え子である落合貞三郎、大谷正信に加え、民俗学者として知られる柳田国男、農政学者のロバートソン・スコットらが講演しています。

その後、第一次八雲会では小泉八雲記念館の設立運動を展開し、1934(昭和9)年に建物を松江市に寄贈、開館を果たしました。当時の建物は現存していませんが、同館には当時の建物の模型が展示されています。

第二次八雲会、すなわち現在の八雲会が誕生したのは1965(昭和40)年。ハーン115年目の誕生日に当たる6月27日、発足式が行われました。同年には会誌『へるん』を創刊、昨年には第51号を刊行しました。

八雲会では、第一次八雲会創立100年、第二次八雲会発足50年の記念事業を計画中です。内容が固まりましたら、八雲会サイトでご案内します。

本年も八雲会をよろしくお願い申し上げます。