投稿:2011年03月23日(水)
3月19日、城下町松江の歴史を知ることができる博物館・松江歴史館が開館しました。かつて家老屋敷があった敷地にふさわしく、広大な敷地に大規模な武家屋敷風の建物が、松江城を囲む堀の東側に面してたたずんでいます。館内には靴を脱いで上がり、畳敷きの廊下を進みます。
松江歴史館の展示内容は江戸時代の松江に関するものが中心ですが、明治時代に入ってもなお、伝統的な文化を色濃く伝えていた松江を紹介する手がかりとして、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)を取り上げた常設展示「八雲の愛した松江の世界」が用意されています。
プラネタリウムの客席を思わせる、傾斜のゆるやかな背もたれを持つソファに腰かけて天井を眺めると、円形のスクリーンには明治以降の松江を映した写真が交互に現れます。八雲の松江滞在中の1891(明治24)年に架け替えられた西洋風の欄干を持つ松江大橋、舗装されていない街路に着物姿で行き交う人々……今とは大きく異なる松江の姿と、今も変わらない松江の風情が交じり合います。
背もたれの傾斜が直角に近い別のソファに席を移すと、「神々の国の首都 (The Chief City of the Province of the Gods)」「美保関にて (At Mionoseki)」など松江に取材した八雲の作品を味わうブースが設けられています。作品の日本語訳とイラストが映し出されるモニターを見ながら、朗読を聴くことができます。
小泉八雲記念館、小泉八雲旧居に続いて、松江城の堀端に八雲に関する展示の場が、またひとつ加わりました。松江に八雲の面影を訪ねるならば、ぜひ立ち寄りたい場所です。
→松江歴史館 ※基本展示の「松江の息づかい」の一部として「八雲の愛した松江の世界」が紹介されています。
→『市報松江』2011年2月号 ※表紙写真が「八雲の愛した松江の世界」のコーナーです。
投稿:2010年12月27日(月)
松江市内にある小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の怪談ゆかりの地を、夜に歩いて巡る「松江ゴーストツアー」のホームページが開設されました。
→松江ゴーストツアー:闇夜……小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が再話した「怪談」ゆかりの地を訪ねて
ホームページでは、従来配布されているチラシのイメージの流れを汲みながら、怪談ゆかりの地や、八雲と松江のかかわりについて、チラシよりも詳しく紹介されています。
また、Googleマップで作られたコース地図とGoogleカレンダーによる出発日カレンダーも用意されていますので、いろいろなホームページやブログに貼り付けたりすることもできます。八雲会のイベント紹介のページにも貼り付けてみました。
ホームページのデザインを担当したのは、グラフィックデザイナーでもある八雲会の石川陽春理事です。ツアーのチラシも石川理事がデザインしています。
さて、本年の八雲会ホームページの更新は、これが最後の予定です。八雲が生まれて160年、八雲が日本そして松江に来て120年を迎えた2010年、サミット「ハーンの神在月」と造形美術展「オープン・マインド・オブ・ラフカディオ・ハーン」といった記念事業を中心に、たくさんの方々にお世話になりました。この場を借りて改めてお礼を申し上げます。
みなさま、よいお年をお迎えください。
投稿:2010年12月03日(金)
11月23日(火)にNHKラジオ第1で島根県内向けに放送された『朗読スペシャル「神々の国の首都」』の一部が、NHK松江放送局のホームページでストリーミング配信されています。
配信されている箇所は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)「神々の国の首都 (The Chief City of the Province of the Gods)」『知られぬ日本の面影(日本瞥見記)』 (Glimpses of Unfamiliar Japan) 冒頭の松江の朝の情景と、松江市内から見える鳥取県の大山(だいせん)の描写です。
なお、期間限定の配信とのことですが、本記事執筆時点では期限は明記されていません。
投稿:2010年11月13日(土)
10月24日(日)の午後は、松江と米子で小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)関係の催しが多数重なり、八雲ファン泣かせの1日でしたね。
米子の鳥取県民文化祭の「ハーンが愛した鳥取県西部」というステージで、八雲が英語教師としての任地・松江へ赴く道中に見て魅了された「いさい踊り」という盆踊りが披露されたのと入れ替わるように、松江の洞光寺(とうこうじ)の本堂では、もうひとつの「いさい踊り」が始まろうとしていました。
「能×怪談ワークショップ みんなでつくる八雲の世界」のひとコマです。能楽師と舞台俳優の語りと、能の笛である能管とチェロによる音楽による朗読のステージの後半は、「いさい踊り」を描いた八雲の作品「盆踊り (Bon-Odori)」『知られぬ日本の面影(日本瞥見記)』 (Glimpses of Unfamiliar Japan)が取り上げられました。
朗読がいよいよ踊りの場面に入ると、雨だれの音が漏れ聞こえる本堂で、4人の出演者がいる内陣の周囲を、外陣の百数十人の観客が、能楽師が舞台を歩くときに用いる摺り足で、静かに歩みを進めます。盆踊りの踊り子たちが、草履で地面を摺るように足を動かすのを、能の技法で再現したのです。
やがて、場面は男女の踊り子の歌のかけあいへ。観客も男女に分かれて、男性はほとんどメロディーらしいもののない節回しで「野でも 山でも 子は生み置けよ 千両蔵より 子が宝」と歌い、女性はやや高低のついたメロディーで「思う男に 添わさぬ親は 親でござらぬ 子のかたき」と答えます。
このようにして、観客が参加して盆踊りの場面が作り上げられました。
今日11月13日(土)16:05からNHKラジオ第1で、このワークショップの模様を収録した『能×怪談 音でつながる八雲の世界』が島根県内で放送されます。
八雲は若くして左目を失明し、右目の視力も弱かった人ですから、目のあたりにした盆踊りは耳をたよりに脳裏に焼きつけ、筆に起こしたことでしょう。ラジオを通して「盆踊り」を聴くのは、へるんさんの身になって盆踊りを見るようなものかも知れません。
10月24日(日)午後の八雲関連イベントは以下の通り。
その他、下記の美術展が開催中でした。
タグ: NHK, ラジオ, 夢十夜, 安田登, 新井光子, 槻宅聡, 水野ゆふ, 洞光寺, 盆踊り, 知られぬ日本の面影, 神々の国の首都, 英語教師の日記から
投稿:2010年11月06日(土)
造形美術展「オープン・マインド・オブ・ラフカディオ・ハーン」で、3日まで松江城天守閣に展示していた作品が、今日からカラコロ工房に移りました。小泉八雲記念館の展示とともに、14日(日)までの開催です。
カラコロ工房の建物は、もともと日本銀行松江支店として建てられ、ギリシャ風の大きな列柱がファサードに並ぶ西洋のクラシックな様式が、銀行らしい風格と存在感を醸し出しています。1938(昭和13)年竣工、数多くの銀行建築を手がけた長野宇平治(1867-1937)最晩年の作品です(竣工は没後)。現在は、工芸の店舗・工房やイベント会場として活用されています。
美術展の展示は、旧日本銀行松江支店だったこの建物の歴史が感じられる空間、地下金庫室を改装したギャラリーです。展示作業に立ち会った美術展担当者によれば、スポットライトの照明でギャラリーの趣の出た展示になっているそうです。
ちなみにカラコロ工房の「カラコロ」は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の「神々の国の首都 (“The Chief City of the Province of Gods”)」(『知られぬ日本の面影(日本瞥見記)』 Glimpses of Unfamiliar Japan)の冒頭に書かれた、松江大橋を渡る人びとの下駄の音色に由来するそうです。ちなみに、カラコロ工房と同じく京橋川に面して、カラコロ広場という広場もあり、その壁には八雲の来日に同行した挿絵画家ウェルドンが描いた、旅行カバンを持つ後ろ姿の八雲が、レリーフとなって埋め込まれています。
さて、昨日付の英字新聞The Japan Timesに、美術展の詳しい記事が掲載されました。いくつかの展示作品をめぐって、八雲の生涯と作品との関係も掘り下げられた興味深い記事です。同紙ホームページにも掲載されていますので、ご覧ください。
“A journey inside the mind of Lafcadio Hearn”
By LISA GAY and FINTAN MONAGHAN
The Japan Times, 5th Novemver, 2010
タグ: The Japan Times, オープン・マインド・オブ・ラフカディオ・ハーン, カラコロ工房, カラコロ広場, 新聞記事, 来日120年, 神々の国の首都