投稿:2015年07月29日(水)
NHK Eテレ『100分de名著』(水曜日22:00放送)でのラフカディオ・ハーン(小泉八雲)『日本の面影(Glimpses of Unfamiliar Japan)』(『知られぬ日本の面影』『日本瞥見記』とも)の特集は、先週22日(水)放送の第4回で最終回となりました。が、今週は第4回の再放送となりましたので、ひきつづき番組を楽しんでいきましょう。
というわけで、2週間前の八雲会ブログで番組講師の池田雅之さん(早稲田大学教授)の訳書と関連書をご紹介したのに続き、今回は池田さん以外の訳書と原書から、いくつかご紹介します。
ハーン作品の翻訳で最も知られる仕事は、ハーンの英文を自然な日本語に昇華させた平井呈一の一連の訳書でしょう。『日本瞥見記』の題で恒文社から、ハーンの原著と同じく上下2巻に分けて刊行されています。やや高価ですので、はじめは図書館や古書店で手にとるとよいかもしれません。舞台美術家・朝倉摂の装幀によるソフトカバーの『小泉八雲作品集』(1975年)には、第13章「心中(Shinju)」のみ未収録ですが、函入りの『全訳小泉八雲作品集』第5巻および第6巻(1964年)には全章が収録されています。
講談社学術文庫の平川祐弘編「小泉八雲名作選集」は、ハーンの英文に忠実な翻訳を図った全6巻のシリーズです、訳者として、森亮、銭本健二ら八雲会にゆかりのある人々や、当時新進の研究者が多数参加しています。このうち『神々の国の首都』(1990年)には、ハーンの『日本の面影』より13の章を収録。『明治日本の面影』(1990年)には、『日本の面影』より5つの章や、Atlantic Monthly 1897年5月号で発表された「出雲再訪」が含まれています。
『神々の国の首都』(小泉八雲, 平川祐弘)製品詳細 講談社BOOK倶楽部
『明治日本の面影』(小泉八雲, 平川祐弘)製品詳細 講談社BOOK倶楽部
実物を手にとる機会は少ないかもしれませんが、国立国会図書館のホームページによる「近代デジタルライブラリー」で公開されている『小泉八雲全集』(第一書房、1926年)。『知られぬ日本の面影』の訳者・落合貞三郎、大谷正信、田部隆次は、みなハーンの教え子です。
八雲会ブログですので、八雲会の本も紹介させてください(笑)。『日本の面影』を中心に山陰地方を扱ったハーン作品を抜粋・訳出し、ゆかりの地の解説を加えた『新版 神々の国の旅案内』。山陰の旅のお供にどうぞ。
新版 神々の国の旅案内(へるんさんの旅文庫 1) | 八雲会 | The Hearn Society:小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の研究・顕彰
最後に原書を1冊だけ。現在日本で入手しやすいのは、Tuttle Publishingから2009年に刊行されたペーパーバックではないかと思います。表紙はもとより、一新された本文組が大変美しいです。
タグ: 100分de名著, NHK, Tuttle Publishing, 八雲会, 大谷正信, 平井呈一, 平川祐弘, 恒文社, 村松真吾, 池田雅之, 田部隆次, 知られぬ日本の面影, 第一書房, 落合貞三郎, 講談社
投稿:2015年06月20日(土)
今年もラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の誕生日6月27日が近づき、各地でハーンに関するイベントが多数開催される時期となりました。八雲会ブログの中の人は、今日から小泉八雲記念館(島根県松江市)で始まった企画展「ラフカディオ・ハーンとアイルランド:記憶のはじまり」や、7月4日の八雲会創立100年記念講演会・シンポジウム「八雲の記憶、百年の継承。」などの準備に追われる日々。広報のためにこまめに更新しなければいけないブログにも手が回らないありさま……
さて明日6月21日(日)は、ハーンの蔵書を収めるヘルン文庫(富山大学附属図書館内)のおひざもと・富山市で、富山八雲会公開セミナー「ハーンの世界に魅せられて」が開催されます。富山八雲会の会員による英語紙芝居 “The Old Woman Who Lost Her Dumpling” (だんごをなくしたおばあさん)、NHK富山放送局アナウンサーによる朗読「耳なし芳一のはなし」、平川祐弘さん(東京大学名誉教授)の特別講演「ハーンとさまざまな文化の女たち」が予定されています。会場は高志の国文学館です。
以下、富山大学附属図書館のTwitterアカウントよりご紹介します。
富山八雲会公開セミナー「ハーンの世界に魅せられて」:来る6/21(日)高志の国文学館研修室101号室にて。13:45開会(受付開始は13:30)富山八雲会員による英語紙芝居,NHK富山放送局小西正親氏の朗読,特別公演は東大名誉教授:平川祐弘先生の「ハーンとさまざまな文化の女たち」
— 富山大学附属図書館のLiLiKaです。 (@lilika_toyama) 2015, 6月 11
富山八雲会公開セミナー「ハーンの世界に魅せられて」は,富山八雲会員は無料ですが,一般の方は資料代として¥500が必要のようです。
また,英語紙芝居の演題は「THE OLD WOMAN WHO LOST HER DUMPLING」です。
http://t.co/RSRhuRJfTU
— 富山大学附属図書館のLiLiKaです。 (@lilika_toyama) 2015, 6月 11
富山八雲会公開セミナー「ハーンの世界に魅せられて」に関連して,富山八雲会が関わった2冊
『ラフカディオ・ハーンの英語教育』
http://t.co/i6KlkvFT1O
『ラフカディオ・ハーンの英語クラス』
http://t.co/XwyvdZ8Yss
当館でご利用いただけます。
— 富山大学附属図書館のLiLiKaです。 (@lilika_toyama) 2015, 6月 11
富山八雲会公開セミナー「ハーンの世界に魅せられて」での朗読の演題は「The Story of Mimi Nashi Hoichi」=「耳なし芳一の話」です。これは,有名な『Kwaidan』=『怪談』に収められている作品の一つです。
https://t.co/0rQYs9R53n
— 富山大学附属図書館のLiLiKaです。 (@lilika_toyama) 2015, 6月 11
タグ: だんごをなくしたおばあさん, ヘルン文庫, 富山八雲会, 富山大学, 平川祐弘, 耳なし芳一のはなし, 高志の国文学館
投稿:2014年11月05日(水)
11月3日(月・祝)島根県民会館中ホール(島根県松江市)で開催されたラフカディオ・ハーン没後110年記念シンポジウム「国際的、かつ地域的視野から新しいハーン像を確立する」(主催:山陰文藝協会、共催:八雲会、まつえ市民大学)の模様を報じた新聞記事です。平川祐弘さん(東京大学名誉教授)が「文明の混淆とハーンの立場」と題して講演しました。
山陰中央新報 – 小泉八雲没後110年シンポ 東大名誉教授平川氏が講演
タグ: 中国新聞, 小泉八雲没後110年記念事業, 山陰中央新報, 山陰文藝協会, 島根日日新聞, 島根県民会館, 平川祐弘, 幽霊滝の伝説, 新聞記事, 松江, 池野誠, 没後110年, 石橋直子
投稿:2014年11月01日(土)
1991年に発行された日本IBMの企業広報誌『無限大』88号の特集「ハーン、百年後の解釈」に掲載された記事の約半数が、サイト「Mugendai(無限大)」で読めるようになりました。
冊子『無限大』 アーカイブ [ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)特集(88号:1991年発行)] – Mugendai(無限大)
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タグ: アール・マイナー, ジョージ・ヒューズ, ドニーズ・ブライミ, ルイ・アレン, 土谷直人, 小泉時, 平川祐弘, 日本IBM, 来日100年, 河島弘美, 浦川直子, 瀧田佳子, 無限大, 遠田勝, 金子務, 關田かをる, 雑誌記事
投稿:2014年10月19日(日)
昨日、共同通信から「小泉八雲の英語講義、受講ノート発見 教育者の実像鮮明に」の見出しで、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の熊本の第五高等中学校(現在の熊本大学)での授業を受けた学生のノートが、東京大学で発見されたとの記事が配信されました。
小泉八雲の講義ノート発見 五高生が残し、東大保管 – 写真ニュース 47NEWS(よんななニュース)
このノートが今月、平川祐弘編『ラフカディオ・ハーンの英語クラス:黒板勝美のノートから』(弦書房)として刊行されます。
明治25〜26年、当時熊本五高生だった黒板勝美(くろいた・かつみ、1874〜1946、東京帝国大学教授、国史学界の大御所、『国史大系』編纂者)がラフカディオ・ハーンから受けた英語授業の自筆ノートが東京大学文学部英文科研究室の市河文庫から発掘された。現代の英語教育を先取りした、比較文化的な見方が随所に光る。過去2作の関連書とともにきわめて貴重な資料であり、文学者・教育者としてのハーンの実像がさらに鮮明になる。
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投稿:2014年10月09日(木)
松江文化情報誌『湖都松江』(松江市文化協会)の第28号が「小泉八雲 没後110年」と題する特集を組んで、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の命日9月26日(金)に発刊されました。その内容を簡単にご紹介します。
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タグ: オープン・マインド・オブ・ラフカディオ・ハーン, ギリシャ小泉八雲没後110年記念事業, ダスティン・キッド, 内田融, 出久根達郎, 小泉八雲記念館, 小泉凡, 小泉祥子, 平川祐弘, 志村節子, 松本民栄, 松本英史, 松江市文化協会, 桒谷定逸, 桒谷郁, 池田雅之, 没後110年, 湖都松江, 溝口善兵衛, 福賴尚志, 長岡真吾, 長谷川洋二, 雑誌, 高橋一清
投稿:2014年08月03日(日)
既報の通り、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)作、平川祐弘訳『骨董・怪談』(河出書房新社)が、ハーンの誕生日6月27日に発売されました。
小泉八雲 平川祐弘訳『骨董・怪談』発売になりました。「耳なし芳一」「雪女」等あまりに有名な怪談も収める、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の二大作品集『怪談』『骨董』を、ハーン研究の第一人者が個人完訳。ハーン没後110年記念出版 http://t.co/QF9HeyVYmm
— 河出書房新社 (@Kawade_shobo) 2014, 6月 30
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投稿:2011年09月15日(木)
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が松江から熊本に移って120年を迎える2011年秋。熊本では、小泉八雲来熊120年の催しが続々実施されます。
今回の東日本大震災の爪痕は大きく、あらゆるものの復興が現在の緊急課題になっています。大津波(海嘯)は多くの人の命や町村をのみ込み、地震や津波への 備えの大切さを私たちに教えてくれました。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は作品「生神様」(A Living God)の中で、かつて和歌山県を襲った大津波の事を描き、後世に伝えています。これは今年度(平成23年)の小学校の教科書に掲載されています。熊本八雲会は、このような中で防災の専門家による今般の震災についての話とハーン作品にみる防災文学について作品の朗読も交えて特別講演会を開催いたします。
(熊本アイルランド協会ホームページより)
「ハーン作品に学ぶ防災の心」
吉村郁也(熊本県警察本部警備部長・警視正)
「ハーン作品『生神様』を中心に」
アラン・ローゼン(元熊本大学教授)
「生神様(A Living God)」第3節
小泉八雲「怪談」の「青柳の話」「十六桜」「乳母桜」を素材に、「樹齢」をテーマとした創作舞台「青柳」を公演いたします。
今年は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が第五高等学校の英語教師として来熊して120年に当たります。この記念すべき年に、比較文学の第一人者であり、小泉八雲を愛し、数々の著書がある平川祐弘東大名誉教授にオリジナルの台本「夢幻能青柳」をお書きいただきました。
この台本をもとに、能、日舞、演劇による創作舞台「青柳」を10月27日(木)に公演いたします。
(熊本アイルランド協会ホームページより)
小泉八雲が1891(明治24)年11月に熊本の土を踏み、第五高等中学校(現在の熊本大学)に英語・ラテン語教師として着任してから120年に当たる月に開催されるシンポジウムです。「参加者は一般の市民の方に加えて若い世代にも働きかけ」、「全国のハーン顕彰会や研究会にも広く呼びかけ、熊本の教育・文化の振興に役立てたい」としています(趣意書より)。
「ハーンと熊本:丸山学の民俗学とハーン」小泉凡(小泉八雲曾孫、島根県立大学短期大学部教授)
アイリッシュ・クリーム
パネリスト:
「再話(『怪談』)作家としてのハーン」池田雅之(早稲田大学教授)
「教育者としてのハーン」西川盛雄(熊本大学客員教授)
「ジャーナリストとしてのハーン」長岡真吾(島根大学教授)
コメンテーター:小泉凡(小泉八雲曾孫、島根県立大学短期大学部教授)
司会:アラン・ローゼン(元熊本大学教授)
小泉八雲作「夏の日の夢(The Dream of a Summer Day)」の舞台地を、熊本八雲会の案内で訪問。
タグ: アイリッシュ・クリーム, アラン・ローゼン, 三角西港, 丸山学, 乳母桜, 十六桜, 吉村郁也, 夏の日の夢, 小泉八雲熊本旧居, 小泉凡, 平川祐弘, 幽霊滝の伝説, 池田雅之, 津波, 浦島屋, 清和文楽, 熊本, 熊本八雲会, 熊本大学工学部百周年記念館, 熊本市立図書館, 熊本朗読研究会, 熊本演劇人協議会, 熊本県立劇場, 生き神, 稲むらの火, 菊本澄代, 西川盛雄, 長岡真吾, 雪女, 青柳, 青柳のはなし, 高濱流光華々, 魔女
投稿:2011年03月19日(土)
東北関東大震災では三陸地方を中心に大きな津波が発生しました。既報の通り、小泉八雲記念館(松江市奥谷町)では小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の津波に関する特別展示が開催されていますが、八雲がtsunami(津波)という言葉を世界に紹介したことを、今回の震災をきっかけに初めて知った方も多いと思います。
Tsunami(津波)という言葉は、八雲の作品「生き神 (A Living God)(『仏の畑の落穂 (Gleanings in Buddha-Fields)』所収、1897)の中で、庄屋の機転で多くの村人が高台に避難して津波から救われたという実話に基づく物語とともに登場します。のちに戦前の国定教科書に取り上げられた「稲むらの火」という作品の原話に当たります。「稲むらの火」については、2月末から3月初めにかけてNHKの学校教育番組『おはなしのくに』で放送された、俳優・佐野史郎さんの一人語りも記憶に新しいところです。
ここでは、八雲の「生き神」が読める本で、書店や図書館などで比較的入手しやすいと思われるものと、ホームページをご紹介します。
「生神」の題で収録されています。
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「生神様」の題で収録されています。平川祐弘訳。
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八雲の初版本の”A Living God”(英文)と国定教科書に掲載された「稲むらの火」(和文)が、それぞれ画像とテキストファイルによって公開されているほか、作品に関連する情報も充実しています。
→稲むらの火webサイト
「生き神」の津波に関するくだりが、「TSUNAMI(津波)」と題して抜粋されています(5分程度で暗唱できるよう、一部の語や文を改変しています)。
→八雲会ホームページ
タグ: 仏の畑の落穂, 八雲会, 常松正雄, 平井呈一, 平川祐弘, 新・小泉八雲暗唱読本, 村松真吾, 東北関東大震災, 津波, 生き神, 稲むらの火