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大谷繞石句碑ができました

大谷繞石句碑(松江市東茶町)

八雲にゆかりの深い人である大谷繞石(ぎょうせき/英文学者、俳人)の句碑を出身地の松江に建立する企画に対し、八雲会では全面的にこれに協力するということで、会員の皆様に募金をお願いしておりました。たくさんの方々から浄財をお寄せいただき、句碑を建立することができました。建立地は繞石の生家跡の近く、松江市東茶町(京店)の一角です。いままで松江に大谷の句碑がなかったのも不思議ですが、このたび日野会長の著書『松江の俳人大谷繞石』発刊を機に、市民有志の方々の発起があったものです。

第四高等学校の教授として金沢にいた大正六年、故郷を偲んで読んだ句、「湖(うみ)をちこち 何を漁(いさ)る火 天の川」が碑文に刻まれました。

繞石の近代俳句史に残した業績を顕彰できたと同時に、小泉八雲が近代の黎明期に教育と文芸に与えた影響を再認識することにもなったと思います。募金総額は71万4千円、うち八雲会の集計分が35人(件)15万5千円、八雲会の会員の気持ちが事業推進の大きな力になりました。ご協力いただいた方々に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

「八雲会報」第50号より

新刊『ラフカディオ・ハーンの英作文教育』

『ラフカディオ・ハーンの英作文教育』表紙

アラン・ローゼンさん(熊本大学教授)と西川盛雄さん(熊本大学名誉教授・客員教授)の共著『ラフカディオ・ハーンの英作文教育』が刊行され、先ごろ著者より八雲会にご寄贈いただきました。

本書は、松江の島根県尋常中学校でラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の授業を受けた田辺勝太郎(1872-1931)と大谷正信(繞石/1875-1933)の英作文のノートを復元・判読した1冊です。本書見開きの左ページにはハーンによる添削とコメントが記されたノートの写真版を、右ページには判読・復元したテクストとその日本語訳を配しています。この英作文ノートはガラス乾板として保存されており、ハーンの勤務校のひとつである熊本の第五高等学校(現在の熊本大学)出身の劇作家・木下順二(1914-2000)を介して熊本県立図書館に収蔵され、2004(平成16)年なってその存在が明らかになりました。

『ラフカディオ・ハーンの英作文教育』本文

ハーンは生徒のノートに、英文の訂正や誤りの指摘を丁寧に記するほか、しばしば生徒を励ますコメントも加えています。また、日本人の文化や生活に深い関心を寄せていたハーンにとって、「ホトトギス」「蛍」「七福神」「相撲」といったテーマで学生が書いた英作文は、日本理解の格好の材料であり、ハーンのコメントには彼が知り得た限りの知識が書き込まれたものもあります。

ハーンが松江や熊本での教師生活の体験をもとに著した「英語教師の日記から(”From the diary of an English Teacher”)」(『知られぬ日本の面影(日本瞥見記)』 Glimpses of Unfamiliar Japan 所収)や「九州の学生とともに(”With Kyushu Students”)」(『東の国から』 Out of the East 所収)には、生徒が提出した英作文を通じたさまざまな考察がつづられていますが、英作文のノートを介して直筆で交わされた師弟のコミュニケーションの跡を集めた本書は、英語教師としてのハーンの実像に迫ることのできる、資料性の高い1冊です。

※本書は2010年に50部限定で刊行された『ラフカディオ・ハーンの英作文添削:判読・復元・日本語訳』(熊本大学学術資料調査推進室)の新装版に当たります。判型を改め、巻末に「ハーンによる英作文添削の分類と分析」と題する一章が加わっています。

ラフカディオ・ハーンの英作文教育
アラン・ローゼン 西川 盛雄
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俳人協会評論賞に日野雅之副会長『松江の俳人 大谷繞石』

社団法人俳人協会(鷹羽狩行会長)が主催する「第24回俳人協会評論賞」に、日野雅之副会長の著書『松江の俳人 大谷繞石—子規・漱石・ハーン・犀星をめぐって』(今井出版)が選ばれました。賞の授与式は2月23日に新宿京王プラザホテル(東京)で開催されます。

八雲会ブログにも本書の紹介記事がありますので、あわせてご覧下さい。

日野雅之副会長の著書『松江の俳人 大谷繞石』刊行

日野雅之副会長の著書『松江の俳人 大谷繞石』刊行

※本書の取扱所を記載しました(2009年12月5日)。

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日野雅之・八雲会副会長の著書『松江の俳人 大谷繞石—子規・漱石・ハーン・犀星をめぐって』(今井出版、2009年9月11日発行)が刊行されました。著者から紹介文が届きましたので、掲載します。

松江生まれの俳人、大谷繞石(ぎょうせき)、本名、正信は、島根尋常中学校で、ラフカディオ・ハーンに学び、愛弟子としてかわいがられ、熊本転勤の折りには、生徒代表として謝辞を述べた。仙台二高では、高浜虚子、河東碧梧桐と知友となり、東大入学後には子規庵に通って俳句を学んだ。偶然にもハーンも講師として東大に転勤となり、再びハーンに学ぶことになり、ハーンの研究資料収集係となり、報酬を受けて苦学生だった繞石は卒業することが出来た。英文学の大学講師となってからは、俳句仲間として、英文学仲間として、夏目漱石と交際するようになり、金沢四高教授の時には、十代の室生犀星に俳句を指導した。

ラフカディオ・ハーン没後、小泉八雲全集の三分の一を翻訳した。また、俳句においては、俳句混迷の時代にも、終始、定型写生の基本を守った俳人でもある。

このたび、繞石の評伝『松江の俳人 大谷繞石—子規・漱石・ハーン・犀星をめぐってハーン・虚子、碧梧桐』を刊行しました。ご一読いただければ、幸甚に思います。

日野雅之

本書の概要は下記リンク先に掲載しています。あわせてご覧ください。

『松江の俳人 大谷繞石—子規・漱石・ハーン・犀星をめぐって』

取扱所

『山陰中央新報』に掲載されました:2009年9月〜11月

9月から11月にかけて『山陰中央新報』に掲載された小泉八雲および八雲会関連の記事です。

2009年9月6日 『山陰中央新報』
松江で小泉八雲ゆかりの地をめぐるツアー
※琴ノ浦まちおこしの会(鳥取県琴浦町)のみなさんが「へるんツアー」で、加賀の潜戸などを訪問。八雲会の日野雅之副会長が解説を務めました。

2009年10月25日『山陰中央新報』
日野雅之著『松江の俳人 大谷繞石(ぎょうせき)』 復権願い業績つぶさに
風呂鞏(八雲会会員、比治山大学非常勤講師)
日野雅之副会長の新著の書評。同書は、島根県尋常中学校と東京帝国大学で八雲の教えを受けた大谷繞石(正信、1875-1933)の、俳人としての業績の再評価を試みています。

2009年11月1日『山陰中央新報』
松江の八雲会 ヘルン旧居芳名録を製本
※小泉八雲旧居(松江市北堀町)の訪問者が記帳した芳名録を八雲会が写真撮影・製本し、旧居所有者の根岸道子氏に贈呈しました。