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ラフカディオ・ハーン『知られぬ日本の面影』 への旅:高嶋敏展写真展

展覧会

基本情報

日時
前期「神々の国の首都」:
2012年4月1日(日)〜9月30日(日)
8:30 -18:30 (受付終了18:10)
後期「旅するハーン」:
2012年10月5日(金)〜2013年3月24日(日)
8:30-17:00(受付終了16:40)
会場
小泉八雲記念館(島根県松江市奥谷町322)
料金
入館料:大人300円、小人150円
問い合わせ先
小泉八雲記念館 電話:0852 -21-2147

内容

趣旨

小泉八雲の『知られぬ日本の面影(Glimpses of Unfamiliar Japan Vol. 1 & 2, 1894)』は、小泉八雲の文学活動の大きな柱であるルポタージュ・紀行文の最高傑作と言われます。タイトルの“Glimpses”という言葉には、来日第1作目でまだこの国を「瞥見したにすぎない」という来日外国人の謙虚さが込められ、一方で“Unfamiliar”には、まだ先学が切り開いていない日本文化の未知の部分、つまり古代出雲文化を継承する「知られざる民衆の精神生活」を描出したという自信に満ちた言葉が、緊張関係をもって並記されています。
この本には、1年3か月の松江滞在中の五感を研ぎ澄ませた観察・取材の成果、山陰各地への小旅行や、1895年に熊本から隠岐を訪ねた時の紀行文などが収録されています。だからその内容は「明治出雲国風土記」とも言えます。初版だけで26刷まで達するベストセラーとなり、後に「松江や出雲ほど、直接見たことのない人たちに熟知されている都市や地方は、ほかにちょっとあるまいと思う。(中略)これほど完全な『旅行ガイドブック』をもった地方は世界に稀であろう」(P.D.パーキンズ「松江とハーン管見」)と評価されました。これは、この本が持つ文学作品と旅行ガイドブックとしての「両面性」を物語っています。
本展では、1)この本の主流をなしている民俗学的な関心と、五感を駆使したフィールドワークを行い、直観的な日本理解への深さと確かさを導いたハーンの観察法。2)ハーンの中にある自然観と自然描写における言葉の画家(Word Painter)としての美意識を持った表現法。3)ハーンの中にある旺盛な好奇心と山陰各地の取材旅行をしたルポライターとしての観察力と洞察力。の3点から作品に対する解釈を試み、展示では、高嶋敏展氏の写真作品やハーン自身が蒐集した寺社のお札の写真展示とともに“Glimpses”への旅に誘っていくことを目的とします。
高嶋敏展氏の写真には、彼自身がカメラでとらえた「現在」のハーンの世界が表現されています。これは、作家ラフカディオ・ハーンと、この地で生まれハーンを深く理解する写真家の高嶋氏のコラボレーションです。100年以上経た今の松江・山陰各地を、写真を通して、来館者ひとりひとりがハーンの見た日本、その時代と現代を自由に行き来することのできる時を超えた旅に出かけ、生きた感覚を味わって頂ければと思います。

内容

この企画展は、1年にわたって行うもので前期・後期に分けて『知られぬ日本の面影』の足跡をたどる高嶋敏展氏の写真とともに、展示解説をご覧いただき、実際にGlimpses[1]を旅行ガイドブック替わりに持って旅に出かけることを誘うものです。

前期は、「神々の国の首都」というテーマで、おもにGlimpses of Unfamiliar Japanの第1巻に出てくるハーンの旅を紹介します。松江市内を中心に月照寺、城山稲荷神社、神魂神社、八重垣神社鏡の池、龍昌寺、八雲旧居、児守稲荷神社などに加え、一畑薬師、稲佐の浜、出雲大社など、15点余りを展示します。
後期は、「旅するハーン」というテーマで、Glimpses of Unfamiliar Japanの第2巻に出てくる場所に主に焦点を当てます。美保神社、加賀の潜戸、花見潟墓地、雲樹寺、隠岐の島、大山など約15点を展示する予定です。
また前期・後期を通して、イギリスのピット・リヴァーズ博物館[2]所蔵のハーン自身が蒐集した神社のお札の写真や、ハーンからチェンバレンに宛てた手紙のコピー、1894年にHoughton, Mifflin. Co.から出版された初版本、およびフランス語やドイツ語に翻訳された翻訳本(Takis Efstathiou氏[3]所蔵)を展示する予定です。
とくに、ハーンが蒐集した当時の護符は大変興味深く、現代のそれと比較しながら展示を行い、来館者の興味を一層高めることにつなげていきたいと思います。

この展示は、実際に読者や来館者を旅に誘うためにハーンの足跡を示したマップを合わせて展示し、同時に、写真家高嶋敏展氏、曾孫の小泉凡氏によるギャラリートークや、実際にゆかりの地を訪ねるまちあるきツアーやバスツアー、レクチャーなど、主催者による関連企画を年に数回行う予定です。特に夏休みには、子供向けの企画を実施するつもりです。
さらに、ガイドブックがわりに本をもってゆかりの地を訪れ、五感に響いたことを「私が観るハーンの世界」として写真や文章等で投稿できるようにします。つまり自由にTwitterやFacebookなどで自分の感想をつぶやいたり、写真や文章を投稿したりして、それをひとつの掲示板としてホームページ上で紹介します。このように、参加型の展覧会にしていきたいと思います。
要するに、この企画展はひとつの展覧会であると同時に、そこに留まらない「まちあるきや旅への誘い」であり、「文学とツーリズム」の両面からハーンという人を楽しむことを可能にできる新しいアプローチだと思います。そうした中で、小泉八雲の『知られぬ日本の面影』を再評価・再認識し、それを現代の自分と重ね合わせてみるためのひとつの試みなのです。

[1]Glimpses(グリンプセス)

“Glimpses of Unfamiliar Japan”(『知られぬ日本の面影』)のことで、完全訳で手に入るものは残念ながら現在はない。現在購入できる本の参考として、以下のものがある。『新編日本の面影』池田雅之訳 角川ソフィア文庫、『神々の国の首都』平川祐弘編 講談社学術文庫、『明治日本の面影』平川祐弘編 講談社学術文庫。今回、解説にはこれらの本のほかに、『日本瞥見記上・下』平井呈一訳 恒文社も使用した。

[2]Pitt Rivers Museum(ピット・リヴァーズ博物館)

イギリス、オックスフォード大学の博物館で、軍人であり考古学者だったPitt Rivers/本名Augustus Henry Lane Fox(1827-1900)が、1884年に私蔵する人類学的資料17,500点を同大学に寄贈したことから博物館ができ、現在は100万点を収蔵。中に、チェンバレンコレクション(Chamberlain Collection)があり、同氏は、主に日本の信仰関係資料1,324点(うち349点が護符)を寄贈した。そのうち約80点が、ハーンが出雲・熊本地方で蒐集した護符類と考えられる。

[3]Takis Efstashiou(タキス・エフスタシウ)氏

ギリシャとニューヨークを拠点とするアート・コーディネーターであり、2009年より、The Open Mind of Lafcadio Hearnの発案者として、「ハーンとアート」という視点からユニークな顕彰活動を繰り広げている。また、ハーンの書籍のコレクターとしても知られており、特に2011年に小泉八雲記念館で開催された「小泉八雲のKWAIDAN展——翻訳本と映画の世界」のコレクションは、国内外から注目を集めた。

高嶋敏展 (たかしま・としのぶ)

写真家、アートプランナー。
1972年出雲市生まれ。1996年大阪芸術大学芸術計画学科卒業。
大学在学中に阪神淡路大震災が発生。芦屋市ボランティア委員会に所属(写真記録部長)被災地の記録作業や被災者自身が撮影記録を行うプロジェクトを企画。1995年〜「被災者が観た阪神淡路大震災写真展」(全国30か所巡回)、芦屋市立美術博物館ほか主催の「震災から10年」、横浜トリエンナーレ2005(参加)、2010年「阪神淡路大震災15周年特別企画展」、2012年「阪神大震災回顧展」など多くのプロジェクトに発展する。

写真家として1994年より作品展を定期的に開催する。
2011年に「小泉八雲と神々の国」をロシア国立アルセーニエフ博物館にて開催し作品が同館に収蔵される。この他、個展、グループ展などを多数開催している。アーチストやデザイナーの作品集、HPなどの撮影も多数手がける。
アートプランナーとして、歴史的建造物や古民家などを使用したアートプロジェクトや作品展など、歴史や地域に根ざした企画を行う。
2001年、松江市天神町の道路拡張によって解体される昭和3年建造のモダンビルを用いた企画「藤忠ビルプロジェクト」の代表を務め、4ヵ月間で30以上のイベントを開催。2006年「島の写真屋アートプロジェクト」(松江市八束町)では大根島に唯一存在していた写真館と写真師の業績を発掘し広く紹介した。2010、11年には、島根大学旧奥谷宿舎の保存、活用運動をサポートする「奥谷タイムトンネル」を企画。奥谷宿舎周辺の空き家、寺社、公民館、建築家の自邸などを使用してまちあるき型のアートプロジェクトを開催し注目を集める。
へるんさんの松江のまちあるきマップ」などの発案・企画・撮影・実施を八雲会、松江市とともに手がけている。
2009年より現代アーチスト、プランナーの団体「どこでもミュージアム研究所」の代表を勤める。

(プレスリリースより)

Facebookページ
https://www.facebook.com/glimpses2012

Twitter
https://twitter.com/#!/glimpses2012

稲佐の浜(前期) Inasa-no-Hama

出雲大社(前期) Izumo-Taisha

日御碕神社(前期) Hinomisaki-Jinja

城山稲荷神社(前期) Jozan-Inari-Jinja

美保神社(後期) Miho-Jinja

加賀の潜戸(後期) Kaka-no-Kukedo

関連イベント
まちあるきツアー「ぶら!へるん」

【コース1】カメラを通して見る松江
2012年7月21日(土)、10月21日(日)9:20集合、12:00頃解散
集合場所:小泉八雲記念館
ナビゲーター:高嶋敏展(写真家、アートプランナー)
旅行代金:1,000円(小人800円)
【コース2】五感で楽しむまちあるき
日時:2012年8月5日(日)、11月11日(日)9:20集合、12:00頃解散
集合場所:小泉八雲記念館
ナビゲーター:小泉凡(島根県立大学短期大学部教授、小泉八雲曾孫)
旅行代金:1,000円(小人800円)

まちあるきツアー「ぶら!へるん」

その他の情報

主催
松江市、NPO法人松江ツーリズム研究会
共催
八雲会
詳しい情報
http://www.matsue-tourism.or.jp/yakumo/glimpses2012/

稲佐の浜(前期)
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